【モテ期到来】
暫く黙っていた太一は「知ってた」と呟いた。
「…知ってたよ…そんなの。俺は多分、元カレの代わりなんだ。」
「そんなの!!…そんなの私許せないから!」
いきなり声を荒げた私に太一がびっくりしてぽかーんと見詰めて来る。
「あ…ごめん…。ちょっと興奮しました…。」
ペコッと頭を下げる私を見て、太一は「ぶっ!!」と吹き出した。
「お前、ホントへんなヤツ!」
ゲラゲラ笑う太一を私はムッとして睨んだ。
「あのさ…俺、紗夜香ちゃんに話しちゃった…」
「へぇ…………って、なに?」
「お前の事。話したのは俺!」
「な…なんで…!?」
太一は伸びをしながら「ん~…さぁね」なんて惚けてるし…。
「なんかさ…疲れただけ!」
そう言って太一は私の頭を乱暴に撫でた。
「週末さ~…野球観に行かねぇ?」
「え?…野球?」
「プロ野球!…ナイターだけど。」
「行く…!!行きたい!」
そう言うと、太一は私の大好きな表情をして笑った。
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