【モテ期到来】
「…その代わり、ちゃんと話せよ?」
見たことないくらい威圧感たっぷりの太一に、私は「…はい」と頷くしか出来なかった。
太一は私の腕を掴んで歩き出した。
私はチラッと彼を見たけど、太一は全くこっちを見ないから広い背中しか見えない。
気付けばそこはいつもキャッチボールをする公園だった。
ベンチに座ると太一は隣を顎で指して「座れ」と低い声で言った。
「…で?彼女と何があった?」
「…ムカついただけ。」
「なんで?」
私は諦めて太一の隣に腰を下ろすと、重い口を開く。
「…三国 紗夜香が今日、すれ違った時言ったの。…“女が野球とかおかしい”って。」
「…それだけじゃないだろ?」
「…前にね?体育が一緒になって…更衣室で彼女と友達の会話を聞いたの。」
…多分三国 紗夜香は…元カレとの関係が切れてない。