前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
なによりも自分の身が可愛い俺はフライト兄弟を巻き込んだというわけだ。
可哀想に、巻き込まれた二人はゲンナリした顔でお茶を啜っている。
まあ二人が大人しく巻き込まれてくれたのは、タダで茶屋のお茶を啜れるっていうのもあるかもしれない。
なにせ、茶屋の費用はすべて親衛隊持ちなのだから。
財布代わりにされて可哀想だと思う反面、ちょっち自業自得だよなぁと薄情なことを思う俺もいる。
マジでベルト鞭痛かったんだもん。
どんな状況下でも、リンチ紛いなことはしちゃいけないってことだよな。
お天道様はちゃーんと日頃の行いを見てるって父さん言ってたぞ。
罰が当たったに違いない。
隣の席で涙を呑んでいる親衛隊を見なかったことにし、俺は目前のみたらし団子に舌なめずりをする。
最近、ご馳走ばっかり食べられるよな。贅沢ばっかりしていいんだろうか?
いやでも久々のみたらし団子…、あ、そうだ!
「お箸とかないっすかね。串に刺さっている団子をバラにしたいんっすけど」
なんでバラにするのだと首を捻る周囲、「ま。まさか空」鈴理先輩だけが顔を引き攣らせて全力で止めてきた。
「空。大体予想はつくが、さすがに茶屋では包んでもらえないぞ。寧ろみたらし団子は串に刺さっている団子を食べるのが醍醐味だ! 形も崩れるだろ!」
「でも五つも串に刺さってるんっすよ。三つは俺が食って、残りの二つは両親の土産に」
「やっぱりそうかっ…、それを持って帰られてもご両親は苦笑いしかしないと思うぞ! バラしても結局は食べかけだろ!」
むむっ、俺は眉根を寄せて確かにと頷く。
両親には美味しく頂いてもらいたい。
どうしても土産として持って帰りたい俺は、「じゃあこれはどうっすか?」案を出す。