前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―




 
  
「あれ。郵便受けに何か入ってる」
 
 
それは、いつものように学校から帰宅したある日の午後のこと。
 
俺は郵便受けに入っていた封筒に目を見開く。

百均で売っているような安価な茶封筒じゃない。

触り心地の良い上等な紙質の封筒が俺の家のポストに入っていた。


「しかも俺宛?」


文通なんて生まれてこのかたしたこともないし、ダイレクトレターにしては高級感ある手紙だ。


裏面を向けてみるけど、差出人の名前は綴られていない。


変だな、肩を竦めて俺は手紙を持ったまま部屋に入る。

脱ぎ捨てたローファーを揃えて、鞄を机上に置いた俺は鉛筆立てに挿していたカッターを手に取り、封を切った。

差出人が書かれていないってのはちょっと不気味だけど、俺宛で名前が書かれている以上、この手紙は俺に向けられたものだ。


読まないと始まらない。


「誰だろう? 俺に手紙なんて」
 

封筒には分厚いメッセージカード。それに薄い便箋用紙が一枚入っていた。

俺はまず二つ折りにされたメッセージカードを読むことにする。

ざっと流し読みした俺は瞬きの回数を多くして、その場で佇んでしまう。




暫し時間を忘れてしまった。




やっと息を吹き返した俺は薄い便箋用紙の方を取り出して目を通す。
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