前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
「僕は豊福が好きだ」
呼吸を忘れてしまった。
まさか破局の後に告白されるなんて思いもしなかったから。
「俺、は」
彼女から視線を外して自分のアイスと見つめる。
溶けかけたアイスは歪な形をしていた。
鈴理先輩と別れた今、俺はフリーの身。
今までは恋人がいるからって逃げていたけど、今度はそうもいかない気がした。
相手は真剣に告白してきてくれているんだから、俺も真剣に返さないといけない。そんな気がしッ…?!!!
ビシッと固まった俺は、ぎこちなく視線を落とす。
俺の腰を撫でている御堂先輩は「今の此処もフリーなんだろ?」じゃあ触り放題だ、なーんてケッタイなことを仰ってきた。
ちょ、やめて下さいよ!
コンビニ前で逆セクハラとか居た堪れないにも程がある!
手を振り払って身を引く俺に笑声を上げ、「僕はもう遠慮なんてしない」好き放題させてもらうさ、とウィンクしてきた。
今までだって好き放題していたような気がするのは俺の気のせいだろうか?
いや気のせいじゃない。
御堂先輩は御堂先輩で暴走してくれていたよ。超俺を困らせていたよ。
唸り声を上げて相手を見据えていると、プリンセスが目を細めて口角を持ち上げる。
「本気で君を奪おうと思う、豊福」
「うば…うって」
一変して呆ける俺に、御堂先輩が強く言った。
「勿論、鈴理から君を奪うんだ。これで鈴理が終わるわけない。必ずあいつは僕の前に現れる。そういう女だ、僕の認めた好敵手(ライバル)は」