前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


「あたしの推測にするに、外と内、両方から仕掛けるということではないだろうか? 婚約式から意識を逸らすのはあたし達の役目。条件付けられた婚約式から空を救い出すのは玲の役目。
だとしたら、限られた期間内に行動を起こすことも可能だ。尤も、楓さんが本気で“共食い”をするのか些か疑問は残るが。危険も多い」


「悟られでもしたら厄介だもんな」

「難しいことなどないと思いますよ。わたくし達なりの行動を起こせば良いんです。二人とも、自分達だけで解決しようとしていませんか?」
 

視野を広げれば自分達以外の人間だって目に映る。

起こす行動パターンなど幾らでもあるのだと百合子は助言した。


目から鱗である。

それもそうだと頬を崩したのは直後。


自分達だけで解決しようなど無理だ。
なんのために後輩のアドレスを頂戴したのやら。


「空は御堂財閥だけを守る選択も出来た」


けれど彼はそれをしなかった。


それは二財閥を救うだけでなく、御堂財閥を孤立の道に進ませないよう彼なりの優しさが宿っていたに違いない。

支配ではなく共栄する将来を玲に迎えて欲しかったのだ。自分達にも同じ将来を迎えて欲しかったのだ。


それが彼の覚悟して導き出した答え。なら、こちらも生半可な覚悟では失礼である。


「大雅、何が何でも玲に会うぞ。今からでも自宅に向かう。
あいつと共栄の道を歩むためにも、自分だけで解決しようとしている玲を説得しなければ。お松にあんたの分を含めた早退届を出すよう伝えておくから」

「ああ分かった。百合子、テメェは兄貴のところに行ってくれ。あいつの詳しい心意を聞きたいから。そいう役回りはお前が適任だ」


こくんと頷く百合子。

話は決まりだ。
早速鞄を取って来なければ。

早足で教室に飛び込む鈴理の目の端に、大雅が百合子を呼び止める姿が映った。


なにやら二人で話したげな様子だっため、鈴理は一足先に自席に戻った。此処で空気を読まなければKYである。


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