前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


例えば、「先輩だけなのごろにゃあ。俺だって寂しかったんっすよ」と甘えまくってみる。

……想像するだけで鳥肌が立つから却下。


んじゃあ、「実は先輩を振り向かせるために嫉妬させようとして」と口実を作ってみる。

……ンな阿呆な、俺はどこぞの乙女、じゃね、乙男だ。


あとは、「お詫びとして今度デートするっす」と物で釣ってみる。

……駄目だ、俺、随分ツケがあるし(物や好意を貰うとデートだのなんだのでツケにしてもらうことが多いんだ)、デートじゃ向こうも満足しない。


どうすればいいんだっ。



「イッデッ!」 



いきなり首筋を噛まれた。
 
ちょ、い、痛いっすっ!

容赦なく噛みましたねっ、びっくりするくらい痛かったんですけど! 今のは痛恨の一撃でしたよ!

抗議してみるものの、「このまま痕になればいいな」ひっじょうに頂けないお言葉を頂戴してしまう。
本当に痛かったんっすよ…、今の。


ちょっと視線を落として彼女を見下ろす。

コアラみたいにしがみ付いてくる先輩のオーラはまだ怒っていた。

でも、並行してなんだか不安も感じられる。
先輩って根っこは寂しがり屋だから、俺が御堂先輩のところに行くとでも思ったのかも。そんなことないのになぁ。

仕方が無いので受け男らしく、

「もっと痕付けます?」

と聞いてみる。
既に首筋から鎖骨辺りはキスマークだらけなんだけど、まあ、これで不安が拭えるなら羞恥は我慢しよう。


が、これは悪徳な罠戦法だったらしい。


俺の言葉を聞いた刹那、

「誘いがなってないぞ」

ニヒルに一笑して見上げてきた。
不安オーラはどこへやら状態だ。

目を点にしている俺に、フフンと彼女は得意気な顔を作る。


「まあ、誘い方は不合格だが、そうやって空からお誘いしてくるとはな。所有物らしい詫びの仕方だ。最初の経験がカーセックスとは濃厚だが不服はない。いいぞ、シようか」
 
< 95 / 918 >

この作品をシェア

pagetop