前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
例えば、「先輩だけなのごろにゃあ。俺だって寂しかったんっすよ」と甘えまくってみる。
……想像するだけで鳥肌が立つから却下。
んじゃあ、「実は先輩を振り向かせるために嫉妬させようとして」と口実を作ってみる。
……ンな阿呆な、俺はどこぞの乙女、じゃね、乙男だ。
あとは、「お詫びとして今度デートするっす」と物で釣ってみる。
……駄目だ、俺、随分ツケがあるし(物や好意を貰うとデートだのなんだのでツケにしてもらうことが多いんだ)、デートじゃ向こうも満足しない。
どうすればいいんだっ。
「イッデッ!」
いきなり首筋を噛まれた。
ちょ、い、痛いっすっ!
容赦なく噛みましたねっ、びっくりするくらい痛かったんですけど! 今のは痛恨の一撃でしたよ!
抗議してみるものの、「このまま痕になればいいな」ひっじょうに頂けないお言葉を頂戴してしまう。
本当に痛かったんっすよ…、今の。
ちょっと視線を落として彼女を見下ろす。
コアラみたいにしがみ付いてくる先輩のオーラはまだ怒っていた。
でも、並行してなんだか不安も感じられる。
先輩って根っこは寂しがり屋だから、俺が御堂先輩のところに行くとでも思ったのかも。そんなことないのになぁ。
仕方が無いので受け男らしく、
「もっと痕付けます?」
と聞いてみる。
既に首筋から鎖骨辺りはキスマークだらけなんだけど、まあ、これで不安が拭えるなら羞恥は我慢しよう。
が、これは悪徳な罠戦法だったらしい。
俺の言葉を聞いた刹那、
「誘いがなってないぞ」
ニヒルに一笑して見上げてきた。
不安オーラはどこへやら状態だ。
目を点にしている俺に、フフンと彼女は得意気な顔を作る。
「まあ、誘い方は不合格だが、そうやって空からお誘いしてくるとはな。所有物らしい詫びの仕方だ。最初の経験がカーセックスとは濃厚だが不服はない。いいぞ、シようか」