清水の舞台
社長の川本が帰ってきた。

「融資打ち切りの話かね」

倉田を待たせている部屋に入るなり、川本はそう言った。

「申し訳ございません」

倉田は深々と頭を下げた。

「まあ、今の我が社の状況じゃ仕方あるまい。こんな今にも潰れそうな会社を天下のA銀行様が相手してくださろうはずがないからな」

と七十半ばの老人は言った。

そこに、先ほど倉田を案内した女が茶を持って部屋に入ってきた。

「あんまり、倉田さんをいじめてはかわいそうよ、お父さん」

と倉田に救い船をだした。

「そうだな。倉田君に罪はないな。いや、すまなかった」

「いえ、担当の私が至らなかったのも事実です。本当に申し訳ございませんでした」

倉田は、なんとかなった、と心の中で思った。


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