One Day~君を見つけたその後は~
並んでソファに座ってしばらく部活の話をしたあと、話題は私の進路のことになった。

「深月はもう、志望校決めたのか?」

そんな滝田先生の担任らしい台詞に違和感を感じるって、一体どういうことだろう……。

「まだだよ。自分が何をやりたいか、まだよく分かってないし……」

「だったら、うちの大学に来るか? 慎と一緒でもいいぞ」


音楽の世界は厳しくて。

セミプロオーケストラに入れたとしても、その収入だけで生活していくのは難しいそうだ。

だから滝田先生は、出身大学の吹奏楽部の指導者と、深夜の居酒屋のバイトをかけもちでやりながら、本格的なプロの演奏家を目指すのだという。


でも、すごく大変そうなのに、先生の目は輝いていた。


「でも、俺もいつまで大学にいるか分からないしなぁ」

「え? また私たちを残してどこかに行く気!?」

「当たり前だ。俺の最終目標は海外デビューだからな。俺の人生、自分のことで精一杯だ」


……全くもう。

こんないい加減な先生なのに、憎めないのはなんでだろう?


先生は、楽しそうに笑いながらビールを飲み干すと、さらにとんでもないことを言い出した。

「いっそのこと、山野上のとこに永久就職でもしたらどうだ?」



信じられない。

先生ってば、なんてことを言うのよー!



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