One Day~君を見つけたその後は~
「やだ、それって担任が受験生に向かって言う言葉?」

「いや、真面目な話。あいつは意外と嫌がらない気がするけどなぁ。深月は嫌なの?」

「だから、そういう問題じゃなくてー!」


永久就職……って。

決してイヤなわけじゃないけど。

でも、現実問題、そういうわけにはいかないじゃないっ!


「そういうとこは、山野上よりむしろ相馬のほうが融通きかなそうじゃないか? ほら、相馬は順番とか世間体を気にするタイプだろ?」

「……うん。まぁ、そんな感じ」

「きっちり給料3ヶ月分の婚約指輪を買ってプロポーズしないと気が済まなかったりしてさぁ。……あ、でも相馬は貯金なんて出来そうにないから、当分結婚は無理だなー」

「それは確かに」

「一見、逆に見えるのになー」


先生の冷静な分析に、思わず納得してしまう私。


「もしかして、先生って、結構私たちのこと見てくれてたりする?」


尊敬のまなざしでそう言うと、先生は真面目な顔で
「当たり前だ。これでも一年間担任やってたんだからな」
だって。

えーと。
これってやっぱり、笑うとこ……?


「……あ、そう言えば」

そして、さらに先生の妄想は続いた。

「山野上と結婚したら、お前は“山野上深月”になるんだよな」

「ええっ!?」

滝田先生の言葉に、不覚にもドキッとしてしまった。


いや……別にね。

今まで一度もそういうことを考えたことがないって言っちゃうと、それはウソになるんだけどね。

だけど、他人に、ここまではっきり言われたのはこれが初めてで。


どっきーん! って。

私の心拍数が、一気に急上昇した。

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