One Day~君を見つけたその後は~
「いやいやいやいや、何でもないよっ」

もう、一体何を否定したいのかわけが分からなくなっていたけど、思いっきり「いやいや」を連発する私。

もーう。こんなの、心臓に悪すぎるよ。

「慎って、絶対、意地悪くなったよね?」

「まあ、これが地だからねー。もう“いい彼氏”を演じなくて良くなったわけだし、深月はこっちのほうが好きそうだし」

えーと……。
それってどういう意味?


「さて、と」

私を一通りからかって満足したみたい。
慎はソファから立ち上がると、「うーん」って大きな背伸びをした。

「先に部屋に帰ってるから。後はゆっくりどうぞ」

そう言って、一人でエレベーターへ向かおうとする。


私は慌てて立ち上がると、

「慎、ちょっと待って!」

って慎を呼び止めた。


──だって私には、慎にどうしても言わなくちゃいけないことがあるから。


「なに?」

私の方を振り返った慎は、数ヶ月前までずっと隣で見続けていた、優しさいっぱいの笑顔だった。

不覚にもその笑顔にドキッとして、目頭が熱くなっちゃったのは、懐かしさのせいだよね……。
< 135 / 179 >

この作品をシェア

pagetop