One Day~君を見つけたその後は~
その途端、ヤマタロが「ぶっ!」って盛大に吹き出した。

私の隣で、お腹を抱えて大笑い。

「バカ! なんでそこで疑問形になるんだよ。おまけに首、傾いちゃってるし」

ホントだ! 
私、なに首かしげてるんだろう!

こんなことになるんだったら、警戒せずにさらっと言っちゃえば良かった……。

そんな後悔をしながら頭をまっすぐに戻す間も、ヤマタロは「やべー、腹いてー」って、しつこく笑い続けていて。

……なんか、面白くない。

訳のわからない事を言わされて、それを大笑いされて。

「もうっ、意味わかんない!」

そう口に出したとたん、ホントに腹が立ってきて。

「なんなのよーっ!」

怒りの鉄拳をお見舞いしてやるー!って右の拳をぎゅっと握って振り上げたけど、それも余裕でヤマタロにつかまれてしまった。


「あーもう」

ヤマタロが、笑いながら私の手をそのまま自分のほうに引き寄せる。

こうなると私は、あっと言う間にヤマタロの胸の中だ。

「お前、めちゃめちゃ可愛い」


……え?


戸惑う私の耳元で、ヤマタロがそっと「やっぱり、首輪だ」って囁く。

……首輪?

聞き捨てならない言葉だけど、私には「どういうこと?」って聞き返す余裕なんてなかった。


……だって。

追い討ちをかけるように

「あんまり、オレの目の届かないとこに行くなよ?」

なんて言葉を、耳にふうっと息を吹きかけるように囁かれて。


「返事は?」

その上さらにぎゅーって抱きしめられたりしたら、冷静に考える余裕なんてなくなっちゃうよ。


「……ハイ」

どうしよう。
今にも顔から、プシューって湯気が出そうだ。
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