One Day~君を見つけたその後は~
「バカだなーお前は」


オレの話を黙って聞いていた陽人は、それを一蹴しやがった。



「まだまだ俺のほうが深月のことをよく分かってるな。アイツは何があっても、一生あのまんまだ。そういうヤツだよ」

「……それはそれで怖いな」

「だけど考えてみろ。深月に面倒くさそうに自分で服脱がれたりしたら、そっちのほうが怖いだろ?」

確かにそれはそうだが……。

それにしてもなんてことを言うんだ、陽人。
深月が聞いたら激怒するぞ。


「まぁ、深月のことをからかって遊んでるわけじゃないって知って安心したよ。いやー、お前でもビビることがあるんだな」


陽人はなにが楽しいんだか、笑いながらオレの背中を数回バンバンと叩いた。


「いてーよ」

「まあ、これからあーいうことは俺の見てないとこでやってくれ。なんだか妹のラブシーンを目撃したみたいで、複雑な気分になるからな」


……妹、ね。

「なぁ、一度聞きたかったんだけど」

「何だ?」

「お前、いつも兄貴面してるけど、深月のほうが誕生日早いんじゃないのか?」

陽人は黙ってしまった。
どうやらその件については触れて欲しくなかったらしい。

「……いいんだよ、たった二日だし、予定日は俺の方が先だったんだから。それに深月は“ねーちゃん”っていうキャラじゃないだろ?」


……どっちもどっちだろ。

そう言いたかったけれど、オレはあえて口には出さなかった。
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