One Day~君を見つけたその後は~
「だったら、オレからチョコに話そうか? ついでに『陽人は全部知ってるけど、聞いてない?』って」

「おい! 頼むからそんなシャレにならないことはやめろ! ……とにかく、今日だけは、何が何でもそっとしておいてくれ!」

本気でうろたえる陽人は、立ち上がるとオレの両肩をがしっと掴んで「いいな! 黙ってろ!」と念を押す。

その目は血走っていて……これ以上いじめると男泣きしそうだった。


「……冗談に決まってるだろ」

オレがそう言うと、再び体の力が抜けた陽人は、肩を落としてうな垂れた。

「お前、タチの悪い冗談、言うなよな……」


全く、不憫なヤツだな。



──携帯に登録された女友達のデータ。

その中には、名前を見てもどんな顔だったか思い出せない子が沢山いた。
知らないうちに勝手に登録されたデータだってある。

だけど、そんなもの、何十件あろうが何百件あろうが、今のオレには何の意味も無い。

おそらく二度と、彼女たちに電話をかけることなんてないだろう。

だから別に、今すぐ削除したって構わないんだ。




認めるのは悔しい。

だけど、オレの携帯には、深月の番号さえあればそれでいいんだ。



……っていうか、アイツの相手だけで、いっぱいいっぱいだ……。



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