不思議書店
光の自宅前。

2階が光の部屋。

良介はよく遊びに来ていたから知っている。

今の良介は誰にも見えない。

道行く人たちも彼のことはわからない。

良介はそっと家のドアを空けて、二階へと上がった。

二階の一番奥の部屋が光の部屋だった。

中からは光の声がする。

今の自分がドアを開けてもダレも気づかないかも知れないが、気をつけながらゆっくりとドアを少し開けた。

やはり中には光がいた。そしてなぜか、光の父もいた。

二人は床に小さな木や布などをちらかして、何か作業をしている。

「父さん、ホントに間に合うの?
 明日までに完成させなきゃいけないのに・・・」

焦るような声音で光は父に問いかけた。

「大丈夫だって、父さんに任せないさ!」

心配する息子とは逆に、父はのんびりと構えている。

「もし・・もしコレ完成しなかったら・・・」

息子のつぶやきに父はやれやれといった表情で頭に手を乗せた。

「大丈夫、明日の良介君の誕生日までには必ず完成させるよ。
 じゃなきゃ、光がナイショで作っていた意味がないもんな」

光は『そうだよね!』っと自分に言い聞かせながら作業に戻る。

そんな二人を見ていた良介は、そっとドアを閉めて座り込んだ。

まさか、光が自分のためにこんなことをしていたなんて想像もしていなかった。

嬉しいのも驚きもあるが、何よりも友達が一生懸命隠そうとしていたことをしってしまった罪悪感もあった。

「ボクのためだったなんて・・・馬鹿だよ光・・」

膝を抱えて顔をうずめる。

そんな良介をゆっくりと光が包んでいった。


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