Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
VIPの病棟の受付に着くと、お父さんが立っていた。



「お父さんッッ!!京ちゃんは!?」

『お前も病人だというのに走ってきたのか!?いいから少し落ち着きなさい』

「そんなことどうでもいいの!!京ちゃんはどうなの!?」

『今は薬で落ち着いているよ。親御さんもすぐに駆けつけてくれて付き添ってくれているから大丈夫だ』



お父さんの"大丈夫だ"という言葉に安心したのか、力が抜けてその場に座り込んでしまった。


そんな私の腕を掴み、支えながらソファーに座らせてくれた。


お父さんも隣に座り、手を握ってくれる。



「…持病が悪化したの?」

『まだはっきりとは言えないが、心不全を繰り返すようであれば状態は芳しくないだろう』

「そん、な……繰り返すようになったらどう…なるの?」

『…心臓移植しか助かる方法はない』



移植…そんな………。



「たくさんの人が順番を待ってるのにッッいつ京ちゃんに回ってくるかッ分かんないじゃない!!」



今の遣る瀬無い思いをどうすればいいのか分からなくて、私は泣くことしか出来なかった。


そんな私の肩を抱き慰めてくれるお父さん。


お願いだからッッ…これ以上京ちゃんを苦しめないでッッ………。





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