Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『点滴を打って、安静にしていなければいけないよ』

「そんな……」

『成瀬君との約束の時間まではね』

「昴、先生ッ……!!」



困ったように、だけど優しい笑顔を向けてくれる昴先生。


本当にダメな事は頑として首を縦には振ってくれない。


昴先生は院長の娘だからと私と一線を引いて接することもしない。


私は先生に恵まれているなと思う。



『でも無理は禁物だよ?それとあまり遅くならないように病室に戻ること』

「はいっ、約束しますッッ」

『まりあちゃんの笑顔を見れるなら何でも許してしまいそうだよ』



いつまで経っても昴先生のキザな言葉には慣れない。


昴先生が言うといやらしい感じがしないから不思議。


『点滴を持ってくるよ』と言って椅子から立ち上がった昴先生が、私の目を捉える。



『初めてまりあちゃんを見たときは天使みたいな子だなと思ったけど、今は可愛い子悪魔に見えるよ』



そう言うとクスクス笑いながら病室を出て行ってしまった。


どういう意味ですか…昴先生………ッッ!!






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