Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『それと、これは僕から』



堀口先生は胸ポケットから折り畳まれた紙を取り出した。


受け取り紙を開くと、中には携帯番号が書かれていた。



『なんすか…これ』

『僕の携帯の番号だよ。仕事用だから基本いつでも出られると思う』

『……俺、男ですよ』

『知ってるよ。成瀬君はいつか近いうちにかけてくる…絶対に』



突っ返そうと思ったけど、堀口先生の顔があまりにも真剣で、冗談を言っているようには見えなかった。


だけど、いくら真剣な顔をしていても、堀口先生の番号が必要になる理由が全く分からなかった。



「タクシーがそろそろ着くわ、行きましょう」

『…あぁ』



お袋が呼びにきてしまった為、しかたなく堀口先生に軽く会釈し俺たちは病室を後にした。


清々しい気分で退院できるはずだった俺の心は、気持ち悪いほどのもやもやが広がっていた。





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