Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
俺の後に続き、花束を抱えた音葉がバスから降りた。


花は俺が持つと言ったが、私が持つと聞かなかったため音葉が大事そうに抱えている。



「見て見てっ」

『あ?』



笑顔で指差しているほうを見ると、どうやら今日はぺたんこのパンプスを履いてきたようだ。


前回失敗してるからな。



『偉い偉い』

「うわぁぁ…面倒臭そうな言い方」

『誉めてやったのに文句言うな』



ちょっと不貞腐れたような顔をして、歩き出した音葉。


少し前まではつんつんしていた音葉だが、最近は雰囲気が柔らかくなった。


俺の目の前を歩く音葉の後ろ姿を見ながらふとそう思った。






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