天体観測
「どうしたらって言われても、俺には助言のしようも、隆弘を救ってやることだって出来ないんだ。何をどうするかは知らないけど、それは恵美自身で決めなくちゃならない。俺には何も出来ない。しちゃいけないんだ」
「それは……そうやけど、どうしたらいいか、どうするべきかわからんの。隆弘が死んじゃうことは受け入れてる。でも、このままでいいんかな?私たち、ほんまに隆弘のために何かしてあげれてんのかな?自分たちの自己満足のために捜査してへんかな?」
「恵美は俺たちがしてきたことが無駄だったって、そう言いたいのか?今さら全部を否定してどうなるんだ?隆弘が逝くのをただ黙って見てろっていうのか?それじゃあ最初からやらなけりゃよかった。結論を出すまでもなく、答えが最初にあったなんてバカげてる」
僕はソファから立ち上がって、椅子に座りなおした。その間も、恵美は僕の目を見ていた。その目には、諦めの色があった。こんな恵美は、こんな目は、見たくなかった。あれほど、弟の死を受け入れていた人間の目が、いざそれに直面したとき、こうも変わるのかと思った。
「わかってないよ。司は何もわかってない。私のことも、隆弘のことも、問題の大きさも」
「問題の大きさなんて、それこそ問題じゃない」
「私たちはまだ高校生なんやで?」
「お前の言っている問題ってそんなことかよ」
語尾を強める。叫んでいたかもしれない。僕は自分で何を言っているのか、処理できないペースで話していた。
「それだけじゃないよ。隆弘が死んだらこれは立派な殺人事件やねんで?私たちでどうこう出来ることじゃないやんか」
「はっ。怖気づいたわけだ」
この言葉は、決め手には十分すぎた。
「それは……そうやけど、どうしたらいいか、どうするべきかわからんの。隆弘が死んじゃうことは受け入れてる。でも、このままでいいんかな?私たち、ほんまに隆弘のために何かしてあげれてんのかな?自分たちの自己満足のために捜査してへんかな?」
「恵美は俺たちがしてきたことが無駄だったって、そう言いたいのか?今さら全部を否定してどうなるんだ?隆弘が逝くのをただ黙って見てろっていうのか?それじゃあ最初からやらなけりゃよかった。結論を出すまでもなく、答えが最初にあったなんてバカげてる」
僕はソファから立ち上がって、椅子に座りなおした。その間も、恵美は僕の目を見ていた。その目には、諦めの色があった。こんな恵美は、こんな目は、見たくなかった。あれほど、弟の死を受け入れていた人間の目が、いざそれに直面したとき、こうも変わるのかと思った。
「わかってないよ。司は何もわかってない。私のことも、隆弘のことも、問題の大きさも」
「問題の大きさなんて、それこそ問題じゃない」
「私たちはまだ高校生なんやで?」
「お前の言っている問題ってそんなことかよ」
語尾を強める。叫んでいたかもしれない。僕は自分で何を言っているのか、処理できないペースで話していた。
「それだけじゃないよ。隆弘が死んだらこれは立派な殺人事件やねんで?私たちでどうこう出来ることじゃないやんか」
「はっ。怖気づいたわけだ」
この言葉は、決め手には十分すぎた。