天体観測
僕は反射的にコンビニの駐車場に入った。きっとあのまま走っていたら、明日の新聞の地域欄くらいには載ったに違いない。

「お前……限度があるだろ」

「さすがの俺も少し引いたわ……」

「だってほんまにビックリしてんもん。それにあんな急に止まったら心配になるやんか」

恵美は泣き出して、場の空気は当然のごとく凍りついた。

「ごめん。悪ふざけがすぎた」と言って後部座席の方を見ると、何故か雨宮も泣いていた。

村岡が僕の左腕を叩いたので、助手席の方を見ると、村岡は左手の人差し指で口を叩いていた。

「どうすんねん……これ」と言っているような気がする。

「さあ?」と僕はジェスチャーを交えて伝えた。

「さあって……」と村岡が言って、車の中はまた沈黙に包まれた。

僕は黙って車道に戻り、目的地に向かった。

村岡はまたバックミラーを通して僕に何かを伝えようとしてたが、僕は気付かないふりをして、百七十六号線をひたすらまっすぐ走った。幸いなことに、信号で止まることはなかった。

箕面駅に着いたときには二人は泣きやんでいて、村岡もほっとしているようだった。

「路上駐車でもいいかな?」
僕は村岡に言った。

「たぶん大丈夫や。よくここらへんにバイク停めるけど、レッカーされたことはないな」

僕は「わかった」と言い、箕面駅前にあるトイレの前に車を停めた。

< 42 / 206 >

この作品をシェア

pagetop