天体観測
出来上がったお茶漬けを持って、母さんが戻ってきた。

僕は、スプーンでそれを食べはじめた。

「お茶漬けをスプーンで食べるなんて、風情の欠片もないわね」

「風情より食べやすさを重視してるんだ」

「でもそれって、お寿司をスプーンで食べるのと同じよ」

「そっちの方が食べやすいならそうするよ」

母さんは新たな煙草を取り出して、火を点けた。

「本当によく煙草を吸うね。何か嫌なことでもあったの?」

「強いて言うなら父さんのことかしらね」

「やっぱり鞘じゃ安心すぎるのかな?母さんは狼のような男が好きなんだろ?」

「あら、そんなことないわ。今の人だって十分飼い犬になれない才能持ってるわ。私が言いたいのはそうじゃないの」

「じゃあ何?」

「司とあの人は実の親子なんだなって思うと何かダメなのよ。何か心配なの。司はあの人に似て、人付き合いが下手でしょ?それが心配なのよ」

「嘘はいい。聞きたいのは本音だよ」

「あら、心外ね。本音よ」

この話はこれで終わり、という顔で母さんは立ち上がった。

「本当に本音よ」と、付け加えて、母さんは自分の部屋に戻っていった。

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