吸血男子
「じゃあいい?」


 扉に手をかけて、後ろを見る。




 決心したような顔の2人がいる。




 ギィィッと音を鳴らして扉が開く。




 1歩1歩扉に近づいて歩く彼女はたぶんすっげぇ不安だろう。





 自分でさえ見たことのない自分に会うんだから。






 魔界に1歩足を入れる。




「きゃっ!」

「由愛?」

「何か変……」



 たぶん感じたことない匂いに魔力が反応したんだ。




 まだ行ける。





 扉の向こうには俺の家が見えてる。





「なんかぞわぞわしてるね…」




 時哉の腕にしがみつきながら歩く彼女。





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