吸血男子
「なーにしてんだよッ!!」
一気に吹っ飛ばされた悠輝君。
「いってぇ…」
尻もちをついた悠輝君は口元についた血を拭う。
「美梨亜、大丈夫か?」
私の近くまで近寄ってきて肩を抱いた。
「うん…。海斗君も血が…」
拳についている血が目立つ。
「あ? これは返り血だから。美梨亜…泣いてんじゃん」
大きな手で私の涙を拭き取ってくれた。
「怖かったよな…俺がもっと早くこればよかった…」
「大丈夫だよ。海斗君、来てくれたもん」
二人の世界に入っていると海斗君の背後に嫌なものが見えた。