吸血男子





「なーにしてんだよッ!!」




 一気に吹っ飛ばされた悠輝君。



「いってぇ…」



 尻もちをついた悠輝君は口元についた血を拭う。




「美梨亜、大丈夫か?」



 私の近くまで近寄ってきて肩を抱いた。



「うん…。海斗君も血が…」



 拳についている血が目立つ。



「あ? これは返り血だから。美梨亜…泣いてんじゃん」




 大きな手で私の涙を拭き取ってくれた。




「怖かったよな…俺がもっと早くこればよかった…」

「大丈夫だよ。海斗君、来てくれたもん」




 二人の世界に入っていると海斗君の背後に嫌なものが見えた。




< 304 / 378 >

この作品をシェア

pagetop