空色クローバー
「この薔薇…とても綺麗です。」

水月がポツリと呟いた。

「え…?」

陸先輩は意外そうな声を出す。

「きちんと育てているのが、よく分かります。この薔薇、育てるの大変だと思うので。先輩のお家にもとても合ってます。」

「……ふふっ、薔薇を先に褒めたのは水月ちゃんが初めてだよ。」

陸先輩はその褒め言葉に驚いてたけど、とても嬉しいそうだった。

「水月の家はお花屋さんなんです。」

「薔薇はあたしの家でもたくさん種類を置いてますが、そのどれよりも綺麗です!」

私達の言葉を聞いて、陸先輩は納得したみたいだ。

水月は昔から花が好きで、私によく花の名前を教えてくれた。

昔の水月は男みたいだとよく言われていたけど、そんな水月を知ってるから、私はそうは思わなかった。

「これは、母が母自身で一生懸命育ててる薔薇なんだ。」

「陸先輩のお母さんがですか!」

水月が凄い感心したように返事をした。

「うん、そうなんだ。だから家を褒められるより、正直嬉しい。」

そう言って、薔薇を触りながら優しく微笑む先輩。

それを見て、私はドキッとする。

水月も顔が赤い。

その姿は完璧に王子様です…。
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