Love 4 U
シーンとした部屋の中。

付けっぱなしのテレビには、どうでもイイ深夜放送が流れていた。


「ねぇ?」
彼が、真面目な顔で話し掛ける。


「はい…」
その顔を見て、何故か緊張した。


「ずっと気になってたんだけど…」

「何?」

「あのさ…」

「うん…」
― 何を聞くつもり?
胸が高鳴る。


「なんで、ツインなの?」
冗談抜きで、真面目に彼が聞いた。


へっ?
― そこかよ…。緊張して聞いていた私は、一体…

急にノドが渇いた。
私は、持っていたビールをイッキ飲みした。


「いや、その…。だ、誰か来るのかと思って…。ずっと気になって…さ…」
言い終わった後、彼もビールをイッキ飲みした。


「何故って、言われても…。ホテルの人に案内されたら、ここだったし…。それに私、一人だし…」

「ふ~ん…」

納得したのか、それともしてないのか、彼はどっち付かずの顔をして頷いた。


― ヘンな人…。
いや、不思議な人?
まっ、どっちでもイイか…。
これで、最後だ…。



もう会うコトも、話すコトもない、彼。


私の、最後の想い出。




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