『若恋』若の嫉妬【完】
――――――――
――――――
――――


文化祭前に、りおが熱を出して寝込んだ。

いつも元気でいるりおが弱々しげな様子をみせるものだから心配でたまらない。


「仁、成田が来たか?」

「成田は男だからやっぱ駄目だ。呼ばねえって言ったじゃねえか」


仁は呆れ顔で俺を見る。


あ、そうだった!

りおの裸を見られてたまるかって思って成田は呼ばなかったんだ。



夕方になってりおの熱はますます高くなる。

息が荒くなりうっすらと開けた瞳はうるうるしてて逆上せ状態だ。



「…いつき、の台詞、だよ」

夢を見ているらしいが樹と言う名前が出てきただけで、なんで俺が出てこないんだと腹が立つ。


「…樹、キスだって」



おい、待てよ。
夢の中ストップしろよ。
冗談じゃねえぞ。



「…台詞、…ほら、…キスシーン」




< 23 / 36 >

この作品をシェア

pagetop