『若恋』若の嫉妬【完】
「熱高いから寝てろ」
今度はりおの指から力が抜けてベットに横にすることができた。
「腹が減ったろ?何か食いたいものないか?」
ベッドから立ち上がると後ろからシャツを摘ままれた。
「?」
ゆっくり振り返る。
「お腹空かないから、もう少し、いて?」
「!」
「…だめ?」
潤んだ目で懇願されるように見上げられてもう少しで理性がぶっ飛ぶところだった。
「―――別にいいが」
胸の鼓動が速い。
抱き締めたい気持ちを必死で押さえ込む。
「不安か?」
「うん」
「弱気だな」
「うん」
小さな声で頷く姿がいつもよりか弱く見えた。
ベッド脇に腰を下ろすと背中のシャツをギュッと握られた。
「奏さん、ありがと」
「背中だけでいいんならいつだって貸してやる」
「うん」
さっきまで夢に出てきた男に嫉妬してた波が穏やかに凪いでいく。