いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
「お兄ちゃん・・・
私に・・・できることない?
兄妹として・・・」


すると雄志は楓花の体を抱き寄せて、
胸に顔を埋めた。


「!?」


楓花はびっくりして目を見開いた。


「しばらく・・・このままでいてええか・・・?」


お兄ちゃん・・・


「うん・・・」


これが雄志に今できる、精一杯の甘えだった。


お兄ちゃん・・・


楓花は雄志の体をやさしくつつみ込むように抱きしめた。


初めて自分を必要としてくれた、
女としてじゃないけど、初めて自分を頼ってくれた、
その喜びに、楓花はうれしさでいっぱいだった。


お兄ちゃん・・・


楓花は雄志を抱きしめ、泣きながら微笑んだ。


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