いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
雄志は奈緒子に背を向けると、
何も言わずに歩き出した。


「雄志!!」


奈緒子は慌てて雄志を呼び止める、
しかし雄志は振り返ることなく足早にその場を去って行った。


「雄志・・・」


そんな雄志の背中を悲しげに見つめる奈緒子。


「お母さん、どうしたの?」


「ううん、何でもないよ。」


そう言って奈緒子は男の子を抱きしめた。


雄志・・・


奈緒子の目から涙が流れ落ちた。



結婚もして子供もいるのに、
俺はそんなに同情されてたんか?


奈緒子に家族を傷つけさせてまで俺は・・・


くそっ・・・くそっ・・・


俺はやりきれない気持ちで車に乗り込み
エンジンを掛け走りだした。


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