一人睨めっこ
(だーかーらっ俺はお前でお前は俺ッ!)

「訳分からん!!」

 俺は叫んで言った。

(んな叫ばなくても聞こえるって)

「し、知るか!!!」

(まぁ深呼吸して落ち着けって)

 ……スー、ハー、スー、ハー。

(落ち着いたか?)

「――少しは」

 しかし自分と話すって違和感あるな。

(俺は……もう一人の俺だ)

「????」

(分かってないって顔だな)

「うん」

 俺は正直に頷いた。

(ん〜つまりは、俺はお前が作り出したお前の理想のお前って感じ?)

 疑問系で返されても困る。

「えーと――」

 頭の中を整理しなくては……。

「お前は、俺の理想の自分」

 俺の理想……。

 もっと頭が良くなりたい。
 もっと運動神経が良くなりたい。
 もっと明るくなりたい。
 もっと人気者になりたい。
 もっとモテモテになりたい。
 もっと――――。

(ま! そういう事だ)

 こいつが……頭の中の声が、
「俺の理想を全て持っているのか?」

 声は答えた。

(そうだよ)
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