一人睨めっこ

十節 満月

 夜中3時――。
 雲に隠れていた月が少し姿を現した。

「!?!?!?」

 突如全身を駆け巡る痛みに、俺は目を覚ました。
 痛みは一瞬で止んだ。

 そして、声が聞こえてきた。
 あ の 声 が 

(…………らだ……れ……)

「ぅあっ!!?」

 紛れもない。
 もう一人の俺の声が頭に響く。
 今度は恐怖が全身を駆け巡った。
その恐怖は一瞬で止まなかった。

『どうした真琴?』

 さっきの俺の声で、淳が目を覚ましたようだ。

「淳――!」

(…………体……く……れ……)

 聞こえる。
 あいつの声が。
 声自体は俺の声なのに、こんなに怖いなんて。

『ど……した? 顔真っ青だぞ!?』

 ただならぬ俺の様子を察した淳は、俺の傍に駆け寄った。


 月がその姿を完全に現した。

 声がはっきりと聞こえた。

(お前の体をくれ)


「うわぁっ!!」
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