一人睨めっこ
『そうそう』
 
 淳が思い出したように言った。

『丑三つ時にやってくれない?』

「丑三つ時?」

 ――って何時の事だっけ。
 零時か一時だった気が……。

『あ、午前二時の事な』

 ハズレた。
 つか、こいつ俺の心読んだ?

「――ってなんで夜中にやらなきゃいけないんだよ」

 夜七時ぐらいで月出るだろ!

『真琴……知らないのか?』

 淳が声を潜めて言った。

「何が?」

『丑三つ時と言えば……幽霊が降りる時……』

 なんだ、そういう事か。

「あぁー」

『リアクション薄ッッ!!』

「別に驚く事じゃねぇもん」

『とにかく、丑三つ時にやる事!! 後――』

「まだ何かあるのか?」

『メールで実況宜しくな!』

「はぁー?」

 面倒臭い……。

『ジャンケンに負けた真琴に拒否権は無いのだ!!』

 なんじゃそりゃ。

「……はいはい」

『“はい”は一回!』

 お前は保育園の先生か!

「……はい」

 俺は呆れ顔で言った。
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