銀盤少年

そして対戦相手に俺を指名したのは、実力が五分五分だと言い切ったのは。


「カズ……鷲塚一哉の弟か」


「流石に強すぎるかな?」


狼谷を煽って闘争心に火をつけるため―――






「……俺が勝ったら二度と目の前に現れるな」






―――かかった!


それだけ言い残すと、出口に向かって歩き出す。


乱れた制服を正しながら、ヒロは狼谷の背中に声をかけた。


「一週間後。放課後のスポーツセンターで」


一瞬足を止めたが、狼谷は振り向きもせず屋上から姿を消した。
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