銀盤少年
狼谷の姿を見えないのを確認して、ひょっこりと影から抜け出す。
俺の存在に感づいていたのか、ヒロはすぐに俺を見つけて困ったように微笑んだ。
「ごめんな。勝手に巻き込んだりして」
「いいよ別に。それより策士だなヒロは、狼谷の本心を上手く引き出した」
「おばさんから色々話を聞いてたからね。こっそり練習してたみたいだし、後は自分の気持ちを吐きだすきっかけを与えれば、俺の掌の上ってわけさ」
なんだろうな、この黒い笑みは。カッコイイのに恐ろしいです。
頭がキレすぎるのも困りものだ。
「して、俺に与えられるハンデってなんだ?」
狼谷が挑戦に乗ってきたということは、少なからず勝算があるということだ。
ハンデ次第によっては俺が喰われる危険性もなくはない
キョトンとヒロは小首を傾げるが、すぐに口の両端を吊り上げて目を細めた。
「なに言ってんだよ。いくらハンデがあるからって、まさか現役バリバリの選手が負けるなんてことはあるわけないじゃん」