カンボジアのコト

夕食

エンドーは、こうみえて頭が良い。
日本でいうなら、東大にあたる所を卒業している。
そうは、見えんがな。
でも、母国語のクメール語は当然のこと、英語を話すし、ついでに、なんとなく日本語も話せるというのは、やはり頭が良いのかもしれない。
そうは、見えんがな。
食事をしていると、エンドーが言った。
「私、公務員になりました。やはり、将来考えると、公務員です。」
「……公務員?なろうと思って、なれるもんでなかろう。」
「なれますよ?勉強すれば。」
エンドーはきょとんとした顔をして言った。
かーーーっ。頭のいいやつの台詞だこんちくしょう。
こいつは、頭がいい。
「で、どんな事してるの?」
「日本語では、なんて言うんだっけ。えっと、天気?」
「天気がどうしたの?」
「ううううっ今勉強中です。」
「…日本語の?天気の?」
「日本にも同じ所あります。」
日本で天気?働き盛りにさしかかろうというこの年齢で悪いが、政治のことは、ちっとも分からない。腕組みをして考える天気ーてんきーテンキといえば?
「気象庁?」
ひらめいたょ私。そんな省庁があるかどうか知らないけど。
「そうです!!気象!!」
「おのれ…もしかして…国家公務員か?」
「ん?国家・・・なんですか?」
「Local civil servant ?National government employee?」
正しい英語かどうかも知らないが、私の知ってる地方公務員と、国家公務員の単語をカタカナで言ってみる。
「あぁ、National governmentデスヨ。」
さらっと言った。
エンドーがさらっと言った。
「にーーーーーーー!!簡単になれるの!?」
「なれませんよ。」
驚いて聞く私に、間髪入れずにハーマンが答えた。
「だから、ハーマンにも、勉強するように勧めています。」
エンドーが偉そうに言う。
「限界があります。」
私の方を向いて、ハーマンが真面目な顔をして言った。
訂正。エンドーはむかつくほど、頭がいい。

ーーーーー豆知識ーーーーー
気象庁あるョ。
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