カンボジアのコト

奔走

登ってきたという事は…降りなければならないということです…。
登る時は自分の体重を上にあげれば良いのですが、
降りるときは、勝手に体重が降ります。これは非常に困ったことなのです。
壁を降りながら、
「夕日…思ったより、たいした事なかった。」
と、超失礼なことを、つぶやいていると、
「たいした事なかったって言えるだけマシよ!!」
下から姉さんの声が帰ってきました。
そう…。たいした事なかったと言えなかった人達がいるのです。
もちろん…素晴らしかったと言うこともできません。
それは何故か…。
見ていないからデス。
これだけ苦労して登ってきて、登ってきて…疲れはてている間に、
夕日は沈んでしまったのだ。
ガイドもガイドよ!!側にいるんだから、沈むなら、沈むって一言くらい言え!!
そんな怒りが伝わってきました。
サニイさんは、異様な空気を撒き散らしている人達の横に、ちょこんと座っていたのです。
あれだけ気の利くガイドさんなのに、不思議デス。
壁を登り終わって次は岩山を下るのですが…。
「岩山を下るのはイヤだ!!」
壁で握力を使いはたして、なおかつ高所恐怖症の私に岩山を降りるなんて芸当…。
拒否デス。ワガママ結構。拒否!!
「象がいるんだから、象が降りる道があるんじゃない?」
高木先生が言いました。
そうなのです。岩山を登りきったとき、何故か象さんがいたのです。
象は岩山は登れません。どこかに道があるはずです!!
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