♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「そう、楠健太(クスノキ ケンタ)」

「…健太、すっごい久しぶりじゃん!」

「みぃちゃん、全然変わってないね」

「いや、幼稚園の頃から変わってないこともないと思うけど…
健太、変わったね。全然誰かわかんなかった」

「マジで…?」

二重のパッチリした目が、ニッコリ微笑む。

昔はナヨナヨした感じの泣き虫健太だったけど…

こんな爽やかスポーツ少年に成長するとは。



「何かスポーツでもやってんの?」

「うん、サッカーやってる」

「だからか…」

あたしは、一人で納得してうなずいた。



「何が…?」

「いや、立派に成長したなと思って」

「何それ?
みぃちゃんと同い年じゃん」

子どもの頃は、あたしが守ってあげないと泣かされてばかりだったのに…

立派に成長して、お母さんは嬉しいよ。



「でも、よかった…」

「えっ?」

「みぃちゃんには、もう一度会いたいと思ってたから」

照れくさそうな笑顔が、幼い頃のイメージと重なる。



「あたしもだよ、健太」

正直、大きくなった健太にまだ違和感あるけど…

あたしは、昔の健太を思い浮かべて微笑んだ。
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