あたしはモデル。②(修正版)


「もしもし、拓夢?」


「あー…

桜、もう家出た?」



電話から聞こえる拓夢の声は、いつもと少し違う気がした。

気のせいかな…?



「今マンション着いたけど…」


「まじかよ…」


明らかに落胆したような声を出す拓夢に、不安になった。





「え、都合悪いの?」


「……」


「拓夢?」


「あー…。ちょっとな…」


拓夢は言いづらそうに言葉を濁す。




なによいきなり。

苛立ちよりも悲しさがこみ上げてきて、思わず唇をかみしめた。



なんか、泣きそうだ。




何日も前から拓夢に会える日をすごく楽しみにしてて、やっと会える日が来て。


嬉しくて、少しでも可愛く思われたくてお洒落をしてきた自分が酷くみじめな気持ちになった。



「意味わかんないし。

…もういいよ、行かなきゃいいんでしょ。
私帰るから。切るね。」


いつまでたっても何も言わない拓夢にそう言い捨て、携帯を切ろうとしたとき、焦ったような声が聞こえた。




「っ、違う!待って!

来てほしいけど来ない方がいいって言うか…






…俺、風邪引いたっぽい。」



「え?」






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