サクラドロップス

「タダイマ」

「オカエリ」

部屋に戻って、玄関で

アタシ達はいつもと同じような挨拶をして

「ユキさん、うがいと・・・」

「手洗いネ。解ってるわヨ」

と、いつもと同じような流れでキッチンと洗面所へと移動した。

「にゃあ?」

アタシの声を聞いたサクラが、もそもそとコタツの中から顔を出した。

いつの間にか・・・アタシが抜け出した後のベッドではなく

コタツの中がサクラのお気に入りの場所になった。


昼には窓から風と陽の光が入り、ベランダにはお布団が干されて

夜にはコタツがのん気に灯り、ベッドの布団にはお日様のなごりが残る

大切に育てられたパキラ

いつも食材の入った冷蔵庫

食後のデザートに果物と甘いもの


無機質なホテルかショールームみたいだったアタシの部屋は

いつの間にか人のぬくもりを感じる『部屋』になった。


ツバサくんが、いてくれるおかげで・・・・・・





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