サクラドロップス

良くない?

と、言われても。

良いよ、とは言えなかったけど、ニッコリ笑ったツバサくんの

その笑顔があまりにも見事に爽やかで

文句のつけようもなかったもんだから

アタシは小さく溜息をついて

『そーね』と、言って、お札をウォレットに戻した。

不思議な不思議なツバサくん。

君には謎が、たくさんあるのネ?



少しだけ『お金』を渡そうとしたコトが恥ずかしくなった。

アタシは彼に、何を見せつけ、何を求めようとしたんだろう。



なんて、アタシが思考の迷宮に入り込む前に

「そーだ!ユキさん、あのさ!!」

と、わざとらしい位に大きな声を出して、ツバサくんはアタシの意識を引き戻した。

「・・・何?」

ニッコリ。

ツバサくんには叶わないものの、アタシも何とか笑顔を作る。

安藤だったら誤魔化されそうだけど・・・ツバサくんには何故か作り笑いが見破られそうだ。








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