碧眼の天姫―刀の後継者


「…何…それ……」


千年は俯いたまま顔を上げない。


そんな千年に何も言えず、同じように俯いた。


「この島で…そんな事が起こってて…美琴ちゃんが戦って…何で…美琴ちゃんなんだよ…くそっ…」


―ガンッ


千年が壁を殴る。
その拳が赤くなっていた。


「…千年……」

「俺と同じ歳で、女の子で…。どうして誰も…美琴ちゃんを守ろうとしなかったんだよ…人を遠ざける程…一人にしたんだよ……」


また抱きしめられる。
初めてあたしの孤独に気付いてくれた人…


―ポタッ


頬に冷たい雫が落ちた。


「泣いて…るの…?」


あたしの為に…?


「約束する…
俺は…美琴ちゃんを守るよ…。やっと見つけた…俺がしたい事…」


千年は笑顔を浮かべた。
今までの作りものとは違う…本物の笑顔…


「美琴ちゃんを守る事…」


あたしにも微笑みかけてくれる人がいた…


全てを知っても…
傍にいてくれた人が……


「…ありがとう…千年…
アンタに出会えて良かった…」



神様が本当にいるのかもしれない…そう思えた。








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