碧眼の天姫―刀の後継者
「俺、この島来る前からモデルやってんの。カッコ可愛い新感覚のモデルって結構人気なんだよ?」
突然のカミングアウトに頭が停止する。
「モデル…?
あの雑誌とかに出てるモデル?」
「そう、そのモデル。
事務所が公開してる俺のプロフィールに勝手に特技がお菓子作りですって書いたもんだから大変。必死で習得したわけ」
なんと言うか………
「何も習得までしなくても良かったのでは?」
「俺は完璧でありたいの。上っ面だけのモデルなんてさ…所詮すぐに終わる。本物になりたくて頑張ってきたんだけど…頑張ってるうちにどうしたいのか…本当に何をしたいのか分かんなくなった…」
遠くを見つめる千年の横顔が悲しげに見えた。
「頑張ってるうちに辛くなった…。周りの期待も、足踏みばかりの自分も仕事も嫌になった…そんな俺を見かねたマネージャーが活動休止を提案してくれてさ…
今はゆっくりこれからの事を考えたいんだ」
モデルの仕事…嫌いなわけじゃないだよね…きっと…
ただ見失ってるだけだ…
どうして行けばいいのか…
「千年になら…見つけられると思う…。ただ…心に余裕が無かっただけだよ。大丈夫…だから今はゆっくり休みなよ」
そして…自分の夢を追い続けて欲しい。
大切なものを手放さずに守って欲しい…
あたしには無くて千年にはある可能性を捨てないで…
「応援してる…千年……
千年が復帰したら、その雑誌…絶対に買うからさ」
笑って見せれば千年は
笑みを返す。
「本当…美琴ちゃんには叶わないよ…」
それから千年はあたしを抱き寄せた。