美味しいカクテルをどうぞ

零夜side

「ねー、レイ?」



上目遣いで俺を見上げるケバい女。

可愛くないよ。

そんなことしても。

でもここは〔オリオン〕。

何度も雑誌に取り上げられる有名店。

何を言われようが、客がうざかろうが、笑顔笑顔笑顔笑顔笑顔。

ちなみに、レイとはここでの源氏名。

新川 零夜(アラカワ レイヤ)と言うちゃんとした名前がある。

誰だよ、レイって。

女みてぇな名前。

そんなことを考えながらも、ニコーッと笑いかける。



「ん?」

「これっ、レイに似合いそうだと思って」



差し出された有名ブランドのネックレス。

それを、彼女の手を包み込みながら受け取った。

もちろん、彼女の顔は真っ赤。

・・・単純。

そんな考えを隠して、笑顔で対応。



「ありがとう。すごく嬉しいよ」

「ほ、ホント?」



うっせぇな。

〝嬉しい〟って言ってやったじゃん。



「あぁ、嬉しいよ。ありがと」



迷惑なだけだけど。

って言うか、ここホストだよ?

んなのリップサービスに決まってんじゃん。

彼女かよ、お前は。



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