【短編】間違い電話
その後の始業式や授業、部活の事はあまり覚えてない。口がフニャッとなりながら家に帰ってきた。



「ただいまー」



「お帰り」



お母さんに帰ったと告げるとそのままリビングダイニングを素通りして、階段を上った。そして、階段を登り切った正面のあたしの部屋に入り、鞄を机のフックに掛けて、そのままベッドにダイブした。



--ランララランララン



また、電話が鳴る。帰ってきてすぐに電話が鳴る理由は、学校の校舎を出てから直ぐに電源を入れたからだ。




「もしもし?」



『あ、もしもし?俺、琴也』



「琴也君、電話してくれるの早かったね」



ちょっと意地悪を言ってみた。



本当は凄くうれしいんだけどね。



『あぁ!早かったか!?悪い、今忙しかった?』



電話越しでも分かるような慌てぶりに笑ってしまう。



「大丈夫だよ。唯、家帰ってきてすぐだったから」



『そうか。なら、良かった。じゃ、これからもよろしくな。俺のケー番登録しておいてくれよ?』



「分かってるよ。あたしのケー番も登録しておいてね」



『おう!』



その後、他愛もない話をして電話を切った。
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