【短編】間違い電話
『奇跡だよな』



「うん」



『あのさ、また、電話していい?』



「へっ!?」



驚いて変な声を出してしまった。



まさか、琴也君からそんな事言ってくれるとは思ってもみなかった。



『あ、変な意味じゃなくってさ!!3年ぶりだし、また話したいな!と思って』



琴也君の焦った声にあたしは笑みを零してしまう。



「いいよ。でも、もう学校だから、今は話し終わりね」



『ああ。じゃーな』



そう言って、電話は切れた。あたしも電話を切って、電源を切り、鞄にしまう。



「誰?間違い電話みたいだったけど、仲良さげだったよね」



末来は不思議な顔をして聞いてくる。



「うん。間違い電話だったんだけど、相手が琴也君だったんだ」



「琴也君!?うっそー!凄い偶然」



末来とは中学の時からの親友だから琴也君の事を知っている。中2の時も同じクラスだった。



「そうかも」



あたしは思わず、笑みを零す。



「で?また連絡するの?」



「うん。向こうからまた、話そうって」



「よかったね」



勿論、あたしが中2の時琴也君の事を好きだったのは末来も知ってる。それに今も好きなのを。だから、こんな質問をしたのだろう。





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