独:Der Alte würfelt nicht.
 
 
「ち、がうんだよっ!!お前達には何の責任も無いんだッ!ただ、周りの大人が糞みたいな屑共で、弱い対象にしか優越を感じられない鬼畜野郎だったんだよッ!だから、だから…謝るなよッ!!ローズ、お前は…白兎に、ありがとうって…それだけでいいんだよッ…!!」

「う、ああっ…うぐっ――ッ」

「おい、どうしたローズッ!?」

「…あ、これ…ッあの、時のッ!!嫌、やめてくださいっ…嫌ぁああ――!」


喚き散らしていたローズがいきなり苦しそうもがき始め、パタリと意識を失ってしまう。

崩れ落ちる体を抱え上げたものの、一向に意識の戻らないローズの顔を数回叩く。

数えられない程伝った涙の跡に、赤く腫らした目元が痛々しかった。

しかし…口元は、何かをブツブツと言い続けている事に気づく。


「――対象Rが興奮状態の為、一時的に意識を強制遮断します。パンドラ内に処理を移行。対象R、対象Nに接続を開始。…接続完了。対象R、対象Nに認証を求めています。許可されました。データを共有しています。…共有完了。アドレスは――」

「おいおい…ッどうなってんだよッ!!」

「外部干渉あり。危険度Lv.2。対象Rから緊急排除システムの解除が行われました」

「ローズ、ローズッ!!」


忙しなく動いていた口元にも力が失われ、意識を引きちぎるように眠ったローズ。

病院の看護師さんにお願いして、簡易ベッドを用意してもらった。

髪を引かない様にローズを寝かしつけ、小さな手の平を包み込んで目覚めを待つ。

これ以上彼らに悲惨な運命を与えないで下さいと、神に祈るしか今の俺には出来なかった。
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