愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
阿部は私に馬乗りになり、咄嗟に私はお腹を庇った。


「みっともなくて、会社にいられるわけねえだろ。しかも離婚だとよ。ああ、そうか。俺と結婚するか? なあ、俺に貢げよ」

「馬鹿言ってんじゃないわよ。誰があんたなんかと……」


バシッ


「だったら、死ね!」


「うぐ……」


阿部の手が私の首を掴み、グイグイ締め上げてきた。

息が、出来ない……


声も出せず、私にはもう、なすすべがなかった。


私は目だけ動かし、阿部の狂気じみた顔から通りに視線を移した。


阿部なんかの顔を見ながら死にたくないと思ったから。


その時、青い車が通り過ぎるのが見えた。


ちょうど祐樹の車と同じ色。
車種は何だっけ?

ああ、そうそうフェアレディZだ。

色の名前は何だっけ?
確かなんとかブルーって祐樹は言ってたけど、そのなんとかが思い出せない。


あ、もうダメだ。思い出したかったな……


私の意識、というか命は、そこで途絶えた。


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