愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜

加奈子だけは、私と阿部の関係を全て知っている。


「あんたの事、散々もてあそんだ挙句に捨てて、そのくせ未だに未練があるのよね、きっと。最悪だわ……」


「まあ、私に男を見る目がなかった、っていうのもあるけどね」


と言うより、男女の間に確かな愛なんてないのに、それを信じてたあの頃までの私が、愚か過ぎたんだ。


「またアイツからちょっかい出されたらイヤだね？」


とか言いながら、加奈子はパクパクとランチを平らげている。


いくら仲がよくても、加奈子にとって、所詮は他人事なんだなあ。


と、がっかりしていたら、

「なーんてね」

と言い、加奈子は鋭い目付きで私を睨んだ。