Rain 2
『知香…お前何してんねん?』



『なにって見たら分かるでしょ?もう帰るんです。お金の精算だけお願いしますね』



あたしはお父さんに冷たく言い放った。



もう父親とも思いたくなかった。





『知香…悪かった。叩いたりして…ごめんな…』



お父さんは少し小さい声で悲しそうにそう言った。



あたしは不思議なぐらい冷静で落ち着いてた。







『もう…縁切りたいねん。あたしにもうかまわんとって。関わらんといてほしい』



『ちょっと待ってくれ…頼むからそんなこと言わんといてくれ…知香』






弱々しい声が病室に響く。





そこにいる一人の人間があたしの目には曇って見える。







この世で唯一あたしと血の繋がりをもつこの人を、あたしはもう受け入れることができなかった。
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